王子様なんて (ページ1)

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〈You side〉

おとぎ話に出てくるような王子様がいつか私にも現れる。
そう信じて疑わなかった幼少期。

私だけを愛してくれる、
そんな人と永遠の誓いのキスをする…

絵本の中ではよくあるそんな話が夢だった。

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〈送ろうか？？〉

数時間前に出会った名前すら分からない男が、
さっき行為が終わったばかりの乱れたベッドに横になりながら、
そんなつもり1ミリもないくせにさも気にしてるような素ぶりでそう聞いてくる。

私はそれにこれといって反応をすることもなく、
さっき脱ぎ捨てられたはずの衣服を次々と身に纏っていく。

全てを身に纏ったところで、
腰を上げると同時にようやく口を開けた。

「大丈夫。タクシー呼んだ。それじゃ。」

いつからだろう。男の人を信じれなくなった、いや、
信じなくなったのは。

1人タクシーを待ちながら、物思いに耽ってみる。

思えば、学生時代。
そのくらいからだったかな…なんて、

自分のことなのに、他人事かのように考える自分に
自嘲気味にフッと鼻で笑った。