王子様なんて (ページ14)

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『お待たせしました。』

ジミンさんとは違う声に、顔を上げる。
彼の持つトレーの上には、先ほどミンジが頼んだパスタとアイスコーヒー、
私が頼んだはずのサンドイッチと…

…アイスカフェラテ？？？？？

「あの、私、オレンジジュースって…」

『美味しいって言ってたから。
他じゃ気軽にカフェラテも頼めないでしょ。』

いや、いやいやいや、そうだけど。
オレンジジュースとカフェラテじゃ値段も違ったはず。

「あ、でも私、オレンジジュースの代金分しか払ってなくて、」

『知ってる。また次来た時でいいよ。』

「あ…」

ありがとうございます。と言いかけた時にはもう彼は
カウンターの方に歩き始めていた。

……ジョングクさんだっけ。
ただの客になんでここまでしてくれるんだろう。

この胸の音は、
オレンジジュースがカフェラテに変わっていた驚きによるものと、いないと思っていたはずの人に急に話しかけられたからだ、
と言い聞かせる。

決して彼に対しての好意なんかじゃない。

「………やっぱり、美味しい。」

ごまかすかのように慌てて口に含んだカフェラテは
この前よりも甘くて美味しい気がした。