王子様なんて (ページ18)

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「…Aです。あ、あの、さっきはありがとうございました。
カフェラテ。美味しかったです。」

向こうから声をかけてくれたんだ。
今度改めて言おうと思っていた言葉を口に出す。

『ん。てか、敬語やめてよ。あの子が俺達同い年って言ってた。』

なんて、まだカフェの中で、ジミンさんと談笑するミンジに視線だけ向けて、またすぐ自分の足元に視線を戻したジョングクさん。

…ミンジのやつ。いつの間にそんな情報まで。

ジョングクさんが何故そんなことを言い出すのか。
私には全く見当もつかなかったが、まあどうせミンジのことだ。
またこのカフェに行こうとうるさいだろう。
その時、またこの人と話すことになるかも。

そう考えたら、敬語じゃなんかやりづらいだろうし、
今は黙って、ジョングクさんの言うことを聞いておこう。

「…はい。あっ、うん、わかっ、た？」

『なんで疑問系？ﾌﾟｯ』

なんて言って吹き出すジョングクさん。
いつもの大きな瞳が、弧を描く。
それと同時に出来る目尻のシワ。
今までとは違って、少年のようなその姿に、

この人、こんな風に笑うんだ。
と思ったのも束の間、

「あー……いや、だから、その、
またカフェラテ飲みに来てよAさん。じゃ」

いつもの表情に戻り、店の中に戻っていく。

そんな彼の後ろ姿を、ミンジが出てくるまで眺めていた。