王子様なんて (ページ29)

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Aの家に着く頃には、
Aはもう俺に抱えられるぐらいまでになっていた。

歩いたことで、更に酔いが回ってしまったんだろう。
タクシー乗れば良かったな、と反省してる暇はない。

『ごめん、A。鍵開けれる？』

なんとかAに、暗証番号を入力してもらって、
ドアロックを解除出来た。

玄関のドアを開けて、中に入るように促す。

「ん〜〜ぐくぅ？ありがと〜！！おやすみ〜！」

と、中に入っていくAを見送って、帰ろうとした瞬間、
バタンッと人が倒れる音。

閉まりかけてるドアを間一髪、反射で止める。

…っっぶねえ！ドアが閉まる前で良かった。

急いで、中に入ると、
リビングに差し掛かる廊下で寝ているAが。

おいおいまじかよ。

『ごめん、A。勝手に入る。』

すでに夢の中であろうAに、
一応断りを入れてから、寝室を探す。

Aを抱きかかえると、
その軽さと、柔らかさが、
想像していた以上にしっかり女の子で。

思わず、頭を振って邪念を振り払った。