王子様なんて (ページ5)

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＜JK side＞

〈いらっしゃいませ〜〉

『いらっしゃいませ』

カフェがオープンして、もうすぐ3ヶ月が経つ。

大学卒業後、特にやりたいこともなかった俺は、
適当に就職して、この間までサラリーマンだったが、
仲の良い先輩、ジミニヒョンに誘われるがままバリスタ店員をやることに。

最初は知識こそなかったが、元々器用なこともあり、今となってはラテアートなんて余裕のもの。

キッチンにはジニヒョンとユンギヒョン。
学生時代から仲の良いヒョン達。

ジミニヒョンに誘われはしたが、
元々はジニヒョンがこのカフェをオープンするきっかけになった人だ。

〈ジミナ〜今日何時に終わるのぉ？？〉

〈今日？んー今日は店終わった後、
ミーティングがあってさ〜ごめんね〜ﾌﾌ〉

こんなのは通常通り。むしろ客の半分がジミニヒョン目当てなんじゃないかとすら思う。

俺はその隣で黙々とコーヒーを入れるだけ。

キッチンにいるヒョン2人は、中々表に出てこないが、人気はもちろんあって、出てきた時にはそれはそれで大変なことになる。

正直俺目当ての客もたくさん来る。

だけど俺はジミニヒョンの様に愛想も良くないし、
それを良くしようとも思わない。
なにより人見知りだし。

そのせいか、ヒョンのように声をかけられても、
無愛想で特に反応もない俺に二度も声をかけようと思う人はいないみたいだ。

『ヒョン、ミーティングなんてないのに。』

〈あの人しつこくてさ〜ずっと断ってるのに気づいてほしいよね〜そろそろジニヒョンに出禁にしてもらおうかな〜ﾊﾊ〉

去っていく客の後ろ姿をみながら、
満面の笑みでそれを言うヒョンをみて、
ああ、この人だけは敵に回したくない。
なんて思いながらヒョンと笑い合ういつも通りの毎日。

そんな普段と何ら変わらない今日が、
特別な日になるなんて、この時の俺はまだ知らない。