王子様なんて (ページ49)

今日:211 hit、昨日:116 hit、合計:74,448 hit

49 ページ49

屋台で떡볶이(トッポッキ)と김밥(キンパ)を手に入れて、家路を急ぐ。

お腹すいて力が出ない。某菓子パンキャラクターがいたら、顔からパンを分けてもらうほどだ。

信号を渡る手前で、反対側の歩道に見覚えのある人。
その隣には、可愛らしい女性が。

フッと男性が屈んで、女性の顔に手を当てる。

その瞬間、私は走り出していた。
見なくたって、その先にすることはひとつ。

…………見間違うはずがない。あれはグクだ。
腕のタトゥーも耳と口のピアスも、男性にしては少し長い髪も。

やっと信じたいと思える人に出会えたのに。
私を見つめる瞳、私に触れる手から、この人も同じ気持ちなんだと思っていたのに。
そう感じていたのは、私だけだったようだ。笑っちゃう。

あのキスにも特に意味なんてなかったのだろう。

走って、走って、やっと家に着く。
あの信号を渡れば、家までの距離はそこまでなかったのに遠回りしたおかげで疲れた。

明日からは何もなかったことにするから。

今日だけは、

思いっきり泣いてもいいよね？