王子様なんて (ページ10)

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…しょうがないか。

今日だけ使ってやるか。
自分で頼んだのに、苦い、まずい、とか言われたら腹立つし。
俺の名誉が傷つくし。

そんなこんなで、いつもとは違うカフェラテを作ったが、
一口も飲まずに最初からシロップを入れようとしているその女性に声をかけるよりも先に足と手が動いていた。

『…甘めのミルクにしといたから。そのままでもいけると思う。』

「え、あ、ありがとうございます。いただきます。」

戸惑いながら言うその女性を尻目に、カウンターに戻る。
自分でもまさかの行動だったから、思わず敬語を使うの忘れてた。

やってしまった。と思うと同時に聞こえた女性の声。

「…………美味しい。」

その声に顔を上げると、
同じくバッとこちらを振り返った女性と目が合う。

フッと思わず笑ったところで我に返る。

………今日の俺は俺らしくなさすぎる。