48 ページ48
思い出したくなかった。
それでなくても蓋が完全に閉まりきっていなかった事は目覚めの悪さが物語っているのに。
また逆戻り。
まるで昨日の事のよう。
それに何より、ジョングクに聞かれたくなかった。
知られたくなかった。
どうやって帰って来たのかよく覚えてない。
ただ、ジョングクは私の言葉をあっさり聞き入れてくれて付いて来なかった。
だから1人で帰って来た事には変わりないのだけれど。
「開けて」
部屋に行かずに兄の部屋のドアを叩いた。
今は1人で居られない。
"開けて"と呟いたのは早く開けて欲しかったからだけど、力のない声は部屋の中の兄には届かない。
ドアを何度も立て続けにノックした。
早く、早くーーー
「、何だよそんな何回も…」
寝起きの兄の顔色が私の顔を見た後で深刻な物に変わっていく。
「なんかあった？」
「、ジョングギの友達にあいつの事知ってる人がいて…」
気を張っていたらしい。
糸が切れたマリオネット人形が音を立ててその場に落ちる様に膝から力が抜けて。
兄の咄嗟の支えが無ければ古いコンクリートに膝を打ち付けていた事だろう。
兄の部屋に入ってソファの上に横になった。
別に何も変わってない。
具合が悪いとか吐きそうだとかそんなのはない。
ただひたすら自分が重くて辛くて気怠くて何も考えたくない。
脳みそごと取ってしまいたいくらい酷く疲弊している。
「会ってはない？」
兄の言葉に首を縦に1回。
別に返事は返って来なかったけれど、兄の表情で気分がどれだけ悪いかは分かった。
兄にも仕事がある、私が不必要にいつまでもここに居たら施術が出来ない。
ゆっくりとした呼吸をして自分を少し落ち着かせて、何とか起き上がる。
「まだ時間予約あるんだから、別にそこにいていいよ」
「…ううん、自分の部屋の方がゆっくり寝れるから」
兄といる事で僅かだけ安心した。
足を引き摺る様にしてまた靴を履いて、自分のベッドまであと少しだけ。
兄の部屋のドアを出て少しの場所で、兄に呼び止められた。
「ジョングギは、悪くないって分かってる？」
兄のその一言に頷く余裕はなかった。
最低だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 558人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - 305さん» ありがとうございます！メッセージさせて頂きますので生まれ年を明記の上返信して頂ければパスワードお送りしますね😌 (5月5日 7時) (
レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
305(プロフ) - 初めまして😌小説を読ませて頂き、いろいろな作品をもっと読みたいと思い、メッセージをお願いしたいと思いますが大丈夫でしょうか💦よろしくお願いします🙇♀️ (5月5日 2時) (レス) id: f97ee42b4a (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - s7vfntpbswさん» ありがとうございます😌先にメッセージお送りしますね！ (4月24日 21時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
s7vfntpbsw(プロフ) - パスワード知りたいのでメッセージお願いしたいです！ (4月24日 21時) (レス) id: 23dc74d0b2 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - hima1010さん» ありがとうございます！こちらからメッセージ送りますね！ (4月23日 12時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かむ
| 作成日時：2024年4月15日 20時
