名前は付けない 2 / JN (ページ2)

今日:61 hit、昨日:68 hit、合計:6,150 hit

3 ページ2

あれから数日。連絡はない。

バッグは無くなっていたから取りに来てくれたんだろう。
“会う為”とか言っといて、結局いなくて。

いい加減な奴だって思ったかな。

でも、あそこでジミンを一人で病院に行かせるなんて事するのは俺が嫌だったし、その行動は間違ってないって言える。

のに。

出るのはため息ばかり。
だから、また作って来てくれた時は、なんとかまだ繋がれてるって嬉しくなって。
連絡をくれないから、迷惑だったんだろうと薄々分かってたのに。
俺を見て逃げた彼女を衝動的に追いかけてた。

もっと慎重に関係を築きたかったのに、不意の事故とはいえ抱きしめちゃったら、もう止まらなくて。
踏み込み過ぎた。

二度も逃げる彼女を引き止める勇気は、もうなかった。

━━━━━

次の日も、またその次の日も。
男性社員が練習室の鍵を閉めに来た後も、廊下に座り暫く待ってみたけど会う事はなくて。
スマホが“ユナ”の名前で灯ることもない。

嫌われたんだって事が、日を追うごとに確信になっていった。
この後何年も彼女に似ている人を見かける度、目を奪われて。
確かめては、違うって落胆した。

ずっと、
どれだけ体がしんどくても休まず動かし続けたし、倒れるまでやめなかった。
弱音も吐かず、ただ黙々と。
わざとそうしてた。

約束を破り続ければ、心配して仕方なくでもいいから、俺の前に現れてくれるんじゃないかと思ったから。