3 ページ8
「ヒョンの匂いにAちゃんが反応してるって事？
なん…、うわぁっ。
嬉しそうに両手で口元を押さえるホビ。
皆から“怪しい”と注目されるけど、困惑しかない。
大人として敢えて避けるような事はしないけど、再会した時から仕事上の必要最低限の会話しかしてないし。
「もしかしても何も、期待してるような事はないよ」
「たしかに、ヒョンからAに絡みに行く事あんまりないですもんね」
俺の言葉にジミンが納得したように続けた。
「でも何かおかしいんだってぇ。僕とお前が宿舎に誘っても全然来なかったのにさぁ」
テヒョンが不満を露わにして口を尖らせる。
それは俺が狡い聞き方をしたから行かざるを得なかったんだと思うけど。
兎に角今は、それよりも何よりも。
検証の為とはいえ、テヒョンがAさんを抱き締めてるのを見るのは ────。
いい気持ちがしない。
二人の元まで歩いてテヒョンの背中を軽く叩いて促す。
「分かったからテヒョンア、もう離れて。半分寝かけてるAさんの寝る部屋決めるよ」
「えー？抱き心地良いのにー」
離したくないと言う様に更に強く抱くから、“いい気持ちがしない”どころじゃなくなってくる。
片手を腰に置いて、態度で“もう終わり”と示せばため息をついて応じた。
「仕方ないなぁ。じゃあ答え合わせしてね」
“答え合わせ？”って言い切る前に、テヒョンが立ってた俺の手首を引っ張って無理矢理床に座らせるから膝をぶつけそうになる。
「ほら、A。匂いの元がお迎えに来たよ」
「…その言い方、臭そうで嫌なんだけど」
テヒョンがAさんを腕から離すと今にも倒れそうに体を揺らす。
床に頭をぶつけたりしないかとハラハラして。
力尽きた様に大きく傾いた瞬間、受け止めようと両手を差し出した。
テヒョンの言葉を半ば流して聞いていたつもりだったけど、すっかり刷り込まれていたようで。
自分の元に来るかと思っていたAさんの体は、一転して後ろのソファーに凭れた。
静かな寝息だけが部屋に響く。
……………。
「ジンヒョンの方に行かないんかいっ」
ってジミンのツッコミと、
「あれぇ？全然違かったや」
って急に興味を失くし顔をスンッとさせるテヒョン。
方々から“なんだー”とか“ヒョン…”って落胆の声が聞こえる。
なんか俺が悪いみたいになってるんだけど。
被害者だよね？
受け入れ体制を取ったこの腕、どうしたらいいの？
4.28
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：lia | 作成日時：2024年4月15日 18時
