Ep.1-1 Seokjin side ページ9
夜も深まり、アルコールが抜けきっていない体を自室のベッドに預ける。
あの後、ホビとジミンを抜かした五人でジャンケンをして、結果、負けたテヒョンの部屋にAさんを寝かせ、本来のその部屋の主はホビたちの部屋で寝る事になった。
緊張からか相当飲んでいたけど大丈夫だろうか。
そう心配していたけど流石に瞼も重くなってきたから、肩までしっかり布団の中に包まって目を閉じる。
遠くの方で物音がして、誰かがトイレに行ったんだな、とハッキリしなくなってきた頭で思って。
自室のドアが開く音。
誰が開けたんだろって気になったけど、もう眠りに落ちる寸前だったからそのまま起き上がる事はしないでいた。
出て行く音だけ確認すればいい。
そう思っていたのに布団が捲られて、ベッドのスプリングが軋む音と沈み込む感覚が予想外で徐に目を開けた。
え？
息が当たるような近い距離。
隣に寝転んで来たのは紛れもなくAさんで。
ここが自分のベッドであるかのように安心しきった顔で目を瞑る。
「え？」
余りに驚き過ぎて今度は声に出てた。
動転する俺なんか無視して、相手はすやすやと既に夢の中に入り込んだようだった。
自らベッドに入ってきて無防備に寝顔を晒すから、眠かった事も忘れて飛び起きるように上体を起こした。
「ちょ…、Aさん⁉︎寝る部屋間違えてるよ？」
そう声を掛けても全く起きてくれなくて、困る。
彼女に近い方の手で肩に触れて軽く揺らす。
「ねぇってば」
『んん…、もぉうるさい』
緩く開けた目で一瞥して、俺の手をペシンッて音をさせて叩く。
「っひど…」
更には、その手を掴んで自分の胸元に連れていった。
抱き枕替わりのように両手で抱え込まれてしまって、どうしたものかと子供のような無垢な寝顔を見つめる。
その姿は可愛いんだけど、それはそれでいろいろと ───。
微かに開いた口から漏れる息。
呼吸する度僅かに上下する胸。
そんなものが目に入ってきたから意識し出して。
これはやばい。
慌てて目線を外した。
片腕を封じられてしまった俺は仕方なく倒れ込むように枕に戻ると、天井を仰ぎながら呼吸を整え自分を落ち着かせる。
こんなので落ち着くわけもないけど、応急処置くらいにはなる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：lia | 作成日時：2024年4月15日 18時
