アンドロイドな君と【JN】 (ページ18)

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JN ページ18

彼女の事を認知したのは、俺たちがデビューして、必死で走り続けて、心が、身体がボロボロになっていた頃だった。

何もかもが嫌になって、メンバーのことを思って、解散を考えた時期があった。

俺が長男だから、しっかりしないと。

メンバーを支えていかないと。

毎日毎日、気を張って、気を使って、俺のメンタルも、そろそろやばいと思っていたある日。

パーカー深く被って、マスクして、ソウルの街を歩いていた。

耳には街の中の雑音ばかりが入ってきて、

人の話す声

車の走り抜ける音

歩道の信号が変わる音

風や木々のざわめく音。

その中に、俺の耳に入ってきた、雑音とは違う声。

目を向けた先にいたのは、今よりまだずっと幼さを残した、Aの姿。

デビュー前に、駅前やビルの前で弾き語りをしていたと番組で話していたが、それは本当で。

まだ10代であっただろう彼女は、自分の歌と声を届けることに、必死になっていた。

街中の音に負けないように、一生懸命、大きい声で歌い続ける彼女の姿を見て、俺は知らない間に泣いていた。

JN「っ………」

久しぶりに、こんなに泣いたと思った。

大人になって泣くことなんて、本当になくて。

　
しかもそれが、嬉し泣きじゃなくて、心が洗われたような、感動した涙だなんて。